こんにちは。感じてわかる体のしくみ講座、講師の稲田です。
今から質問を投げかけるので、ちょっと考えてみて下さいね。
1.解剖学の知識に長けていると、ご自分の動きが良くなるでしょうか?
1.の答えは「NO」ですね。
筋肉を例にとると、たいていの学び方は「筋肉がここからここに付着して、こういう働きをする」と覚えますね。
でも実際の生きた筋肉はそのような機能解剖学書に書かれている働きだけではないんです。
2.の答えも「NO」です。
なぜなら、知識だけで実際に体現を伴わないと意味がないからです。
筋肉はふつう伸び縮みすると思われていますが、あれね、筋細胞のレベルでは伸びも縮みもしていないんですよ。
筋フィラメントは、二つの櫛を向い合せてお互いの歯どおしを入れ子状態に近づけたり離したりしてスライドするようなものです。
「いやいや、何ゆうてまんのおたく。二の腕曲げたら力こぶできますやん。筋肉ちゃんと縮んでますやんか。」
なるほど、確かにそうですね。
でも実は、あれ筋が縮んでいるんじゃなくて、周りの結合組織などが引っ張り寄せられて密度が詰まっている状態なんですよね。
上腕二頭筋に手のひらを当てて、筋のスライドをイメージしながら肘の屈曲伸展運動を何度か行ってみて下さい。
筋の柔軟性が増し、可動域も増えるのが体感できるでしょうか?
筋肉をトレーニングしたり、コンディショニングのケアをする際に、筋は縮むのではなくスライドするという観点でみてみると利点があるんです。
それは、筋が強く収縮していても柔軟性を失わないですむということです。
実際に起きているのは、筋フィラメントのスライドですから、緊張させるとか、縮こませるというイメージは使わなくてもいいわけですから。
お読みいただきありがとうございました。